はじめに
みなさん、こんにちは。ゆるモクです。
じとじと、じめじめ湿気の多い季節となりましたね。
お弁当の傷みが気になったり、ごはんがベタつきがち…
そんな悩みはありませんか?
ごはんが美味しくなるお弁当箱が欲しいな。
今度、秋田に旅行へ行くから、
曲げわっぱ弁当とかどうかな?
木でできてるね!使ってみたい!
実は、天然の木が持つ調湿作用を備えた「曲げわっぱ」がそんな悩みを解決してくれるんです。
本日は、先日訪れた秋田で出会った、特別な工芸品である秋田の「曲げわっぱ」をご紹介したいと思います。
目的にあった曲げわっぱ選びと原材料の秋田杉について学べます。
曲げわっぱとは?
日本の伝統的工芸品とおいしさの理由
木の温もりと冷めてもおいしいお弁当:曲げわっぱ

曲げわっぱとはスギやヒノキなどの木材を、熱湯で柔らかくしてから曲げ、山桜の皮で縫い止めて作る伝統的な工芸品の総称です。
主に弁当箱や食器、おひつなどに使われています。
曲げわっぱのご飯が美味しくなる主な理由は、木の調湿作用によるものと、自然な素材が持つ特性によるもの。
ご飯から出る余分な水分を吸い取ってくれるため、冷めてもべちゃべちゃせず、ふっくらした食感が保たれるのです。
曲げわっぱのメリット
つぎは、曲げわっぱのメリットをご紹介していきます。
・優れた調湿性
・木の香り
・自然な美しさ
・殺菌効果
👍メリット1 優れた調湿性
木は呼吸をするため、余分な水分を吸収し、乾燥を防ぎます。
これにより、ご飯がべたつかず、ふっくらとした状態を保ちやすくなります。
また、おかずの水分が適度に保たれ、傷みにくいという利点もあります。
ただ調湿性も、どの曲げわっぱ共通に優れているとはいえません。
お弁当として選ぶ際は、塗装されているものか、無塗装か確認が必要です。
次の見出しで塗装別に紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
👍メリット2 木の香り
天然の木の香りが食欲をそそります。
特に秋田杉などの香りは、お弁当を開けた時の心地よさを演出します。
また、スギやヒノキなどの木の香りにはフィトンチッド1という成分が含まれており、心を落ち着かせて、リフレッシュした気分になれます。
👍メリット3 自然な美しさ
木本来の素材感が活かされ、シンプルながらも温かみのある美しい見た目です。
使い込むほどに風合いが増すのも魅力です。ごはんとおかずを詰めるだけで、お弁当が映えるのも嬉しいですよね。
👍メリット4 殺菌効果
先ほど前述したフィトンチッドの成分により、微生物の活動を抑制する効果があり、お弁当の中の食材が傷みにくくなることが期待されます。(抗菌・殺菌効果)
塗り方選びが決め手!曲げわっぱの選び方
はやく曲げわっぱのお弁当箱で食べてみたいなぁ!
白木・漆塗り・ウレタン塗装の3種類があるよ!どの種類がいいのかな?
そんな曲げわっぱ、どんな風味になるのか気になってきますよね。
実は、塗り方でごはんの風味や管理のしやすさが異なるってご存じですか?
大きく分けると3種類の塗り方があるんです。
それぞれメリットとデメリットで、どの曲げわっぱにするか決まります。
白木(無塗装)
白木(無塗装)のタイプの曲げわっぱは、木の素材そのままなので、吸湿性が抜群です。
なので、冷めてもおいしいごはんを重視している方におすすめです。
一方で、白木(無塗装)の欠点は、油が染みやすいのと、洗剤が使用できないので、基本的にはお湯や水洗いになります。
また、しっかり乾燥させないとカビが…。
また使用後の完全乾燥が必須のため、連日の使用はなるべく避け、連日使用される方は、2個持ちで交互に使用がおすすめです。
手間を惜しんでも、おいしいごはんが食べれることを重視する方向けです。
😋吸湿性抜群なので、冷めてもおいしいごはん重視の方向け
😢洗剤の使用は不可、油がしみこみやすく、カビ防止のため完全乾燥が必須
🚩手間を惜しんでも、おいしいごはんが食べたいなら白木がおすすめです!
漆塗り
美しいつやで高級感をかんじる漆を塗ったタイプ。
漆の被膜で耐久性があり、汚れが落ちやすく、洗剤の使用もOKです。
漆自体にも防腐・抗菌効果があると言われているので、傷みにも安心です。
一方、漆塗りの欠点は、手間と時間がかかるため、白木のものに比べて価格が高くなります。
通常は時間が経つにつれて薄れますが、塗りたての漆は独特の匂いがすることがあります。
耐久性と高級感があり、お手入れも比較的簡単な漆塗りの曲げわっぱは、何十年も長く愛用したい方におすすめです。
その美しい見た目は、お弁当の時間をより特別なものにしてくれます。
😋高級感と耐久性があり、漆の防腐・抗菌効果あり、洗剤の使用もOK!
😢価格が高価、漆塗りの匂いが最初のうちは気になるかも。
🚩値段が高くても長く愛用したい耐久性重視の方におすすめです。
ウレタン塗装
ウレタン樹脂でコーティングされているタイプ。
水や油をはじきやすく、汚れが染み込みにくいです。
中性洗剤と柔らかいスポンジで洗うことができ、お手入れが楽です。
漆塗りのものに比べて、一般的に価格が手頃となっています。
また、食品の色や油分が色移りしにくいので、お弁当箱をきれいに保ちやすいです。
一方、ウレタン塗装の欠点は、木材が樹脂でコーティングされているため、白木のような優れた調湿性は低いです。
また白木や漆に比べると、木材本来の抗菌作用は期待できません。
お手入れの手軽さを重視する方や、曲げわっぱ初心者の方におすすめです。
😋色移りなしで洗剤の使用もOK、連日の使用可能でお手入れらくらく!
😢調湿性が低いので、白木に比べると抗菌作用は期待が薄い。
🚩お手頃な価格で購入でき、使いやすさを重視したい方におすすめです。
日本の伝統的工芸品 曲げわっぱ
全国各地でいろいろな呼び名2で販売されている曲げわっぱ弁当ですが、秋田県大館市の「曲げわっぱ」は中でも、国の伝統的工芸品に指定されています。
- 主として日常生活の用に供されるもの
- その製造過程の主要部分が手工業的
- 伝統的な技術又は技法により製造されるもの
- 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
- 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの
上記5つの項目を全て満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号、以下「伝産法」という)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。
(出典:経済産業省ウェブサイト『伝統的工芸品』https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/index.html)
伝統的な手作業での技術が地域で伝承され、人の生活を支える一品になった「お弁当箱」だったのですね。
伝統的な原材料 天然秋田杉
また秋田県の曲げわっぱは、日本有数の銘木として知られる「秋田杉」3を使用しています。
そして、秋田県の曲げわっぱは、武士の内職仕事としてはじまり、現在に至るまで多くの人の食文化を支えてきました。
しかし、その材料となる天然秋田杉4は、近年、減少が著しく、資源保護の観点から、2013年度以降の伐採が禁止されています。
現在流通している秋田杉は、自然の中で育った「天然秋田杉」と人工的に植林された「秋田杉」の2種類です。
これまで曲げわっぱにも「天然秋田杉」が用いられてきましたが、原木の在庫利用を除くと今の原材料のほとんどが「秋田杉」になっています。
秋田杉と天然秋田杉の違いを簡単にまとめたものがこちらです。

※上記の表は、複数の公開情報を基に作成しました。
どちらの秋田杉を選ぶかは、用途や予算によって異なります。
木目の美しさや耐久性を重視する場合は、天然秋田杉がおすすめです。
一方、価格を抑えたい場合は、人工的に育てられた秋田杉でも十分な性能を発揮します。
旅行先で見つけた秋田杉

そんな貴重な秋田杉。
秋田空港でも秋田杉を使用した木質化スポットがありました。
国内線ターミナル2階ロビーとロイヤルスカイラウンジのほか、レストランやカフェ、売店にも秋田杉が使用されています。
帰り際にも秋田杉を感じられ、心地の良い空間が広がっておりますので、お立ち寄りの際は、ぜひみてくださいね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
皆さんにピッタリの曲げわっぱがみつかりそうですか?
今回のブログでは、秋田の「曲げわっぱ」の魅力について、ご紹介してきました。
実は私も、塗り方と形が様々な種類の曲げわっぱで迷ってしまいました。
これから曲げわっぱを選ぼうとしている方の参考となれば嬉しいです。
曲げわっぱは、単なるお弁当箱や器としてだけでなく、
私たちの暮らしに豊かな時間をもたらしてくれる存在です。
自然素材である木が持つ優しさ、そして日々の食卓を豊かに彩るもの。
この記事を通して、少しでも多くの方に曲げわっぱの魅力が伝わり、日々の生活に取り入れていただけたら嬉しいです。
【おまけ】お弁当お役立ちグッズ
藍染めランチクロス

そして曲げわっぱのお弁当を包むのに、
日本の伝統色が美しい藍染め5のランチクロスはいかがでしょうか。
深く、そしてどこか懐かしいブルーの色は、天然の藍で丁寧に染め上げられたもの。
その一枚一枚が、日本の職人の手仕事によって生まれています。
曲げわっぱの優しい木の風合いと、藍染めブルーの色合いは、お互いを引き立て合い、より一層お弁当の時間を豊かなものにしてくれますよ。
藍染め体験

先日、藍染め体験ができるイベントに、娘と一緒に参加しました。
輪ゴムで模様付けした後、手袋も付けたのですが、染色液に手まで浸かってしまいました。
しばらくの間、1週間くらいは手が藍色に…。
お弁当グッズに使える世界に一つのオリジナル作品作りも楽しいですよ。
染め上がった藍色の布を広げるときのドキドキ感とわくわく感は、まるで小さなアートを作り上げたようでした。
- フィトンチッドは、植物が自身を守るために放出する揮発性の化学物質の総称です。ロシア語の「フィトン(植物)」と「チッド(殺す)」を組み合わせた言葉で、もともとは植物が微生物から身を守るために出す物質として発見されました。 ↩︎
- 曲げわっぱの別名は、地域や種類によって「めんぱ」、「曲げ物」、「さわら」、「ヒバの曲物」などがあります。特に秋田県大館市では「大館曲げわっぱ」と呼ばれますが、全国的に「曲げ物」と総称されることも多いです. ↩︎
- 秋田杉は、秋田県に自生するスギのことで、天然秋田杉、人工秋田杉などがあります。秋田杉は、木曽ヒノキ、青森ヒバと共に日本三大美林の一つとして知られています。 ↩︎
- 天然秋田杉は、秋田県北部に自生する天然の杉のことで、人工的に植栽された秋田杉とは異なります。米代川流域など、特定の地域に分布し、鮮紅色でつやがあり、軽くて弾力性に富むなどの特徴があります。また、年輪の幅が狭く、強度に優れているため、古くから伝統工芸品や建材として利用されてきました。 ↩︎
- 藍染め(あいぞめ)は、タデ科の植物である藍の葉から抽出された染料を用いて、布や糸などを染める伝統的な技法です。藍染めは、自然素材のみで作られ、深い青色や紺色を表現できるため、日本の染色文化に深く根付いています。 ↩︎